「いのちを考える」研究プロジェクト
所長・松田和憲

【グループの研究テーマ】

 私たちは、生物学的意味で用いられる「生命」という用語ではなく、もっとトータルな意味、すなわち哲学的・倫理的・宗教的な意味をも含む言葉として昨今広く使用されている「いのち」という用語を用いて、その「いのち」全般を研究の対象とする研究グループです。

 その中でいま重点的に取り上げている問題は、ここ20年ほどの間に急激に進歩発展を遂げている、いわゆる先端医療技術に関する倫理的諸問題ということになります。これは最近大きな話題になり、私たちに対しても「生と死」に関する決断を迫る事柄になりつつあります。そこで私たちの研究テーマについて具体的に言えば、「いのち」の始まりと終りについて、病気の診断や治療、中でも臓器移植など「いのち」の質に関するさまざまな生命医科学技術による操作と適用の問題等々、これらの諸問題を考察していくと言うことになります。しかし、私たちグループの時間的・力量的制約を考慮し、当分の間は一つの研究分野に限定して研鑚を続けていく予定でおります。それは従来の方法論のように、数多い「いのち」に関する諸問題を対象ごとに独立、分離させて考察するのではなく、「いのち」をトータルに捉えていく学問分野を指し、たとえば生殖・臓器移植・末期ケア・安楽死・患者の「知る権利(Informed Consent)」などの根底にある全体像としての人間の価値判断や倫理的決断のあり方を考察する学問的分野、すなわち「バイオエシックス(生命倫理)」と呼ばれ、まったく新しい研究分野を意味しております。

しばらくは、この問題に関する研究を続けていくつもりでおりますので、関心のある方はご一報ください。

 

【2014年度研究テーマ】

 2014年度は2013年度に研究を完了しなかった,「被災地へのボランティア活動を通した支援者の心理的変化――『いのち』の観点から」としてグループでの活動を進めていくことを計画している。関東学院大学では2011年から2013年にかけて東日本大震災後の被災地に教職員ならびに学生のチームを派遣するボランティア活動を展開している。このボランティア活動を通して,それに関わった人々は震災の現実を目の当たりにすると同時に,人間の生や死,生きるとはどのようなことなのか,といったことに対して新たな思いを抱くことになったのではないだろうか。これは"いのち"に対する意識や態度の変化と言うことができる。2014年度は,これらボランティアに関わった人々の心理的変化について面接調査等を通して実証的に検討することとしたい。  2013年の研究計画に関する詳細な検討を経て,今年度は,観点をいくつかに絞って調査研究を進めていく。実際にボランティア活動に参加した教職員および学生を対象としたインタビュー調査を実施し,どのような心理的変化が見られたのかを明らかにする。


メンバー

所員

鈴木公基、三輪のり子、尾之上さくら

客員研究員

長谷川伸江,長井英子,安達昇,三浦一郎



2014年度の活動報告

第1回研究会 月日() :
発題者:

テーマ:  
討議内容:  


各年度の活動:

2016年度

2013年度

2012年度

2011年度

2010年度

2009年度

2008年度

2007年度

2006年度

2002年度